「子どもと一緒の時間を大切にしながら、自分らしく働きたい」と、フリーランスを検討する方はいるのではないでしょうか。
しかし実際に始めてみると、理想と現実のギャップに戸惑い、「何のためにフリーランスになったんだっけ」「こんなはずじゃなかった」と悩む方も少なくありません。
子育て×フリーランスには様々な課題がありますが、工夫次第で充実した両立生活を送ることができます。
この記事では、子育てのためにフリーランスになるメリットや悩みなどに触れていきます。後半では、フリーランスで子育てと仕事を両立するための対策を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
女性フリーランスとして働くメリットやおすすめの仕事について下記の記事でも詳しく紹介しています。
子育てのためにフリーランスになるメリット
ここでは、子育てのためにフリーランスになるメリットを紹介します。
また子育てと両立する目的でなくても、フリーランスになるメリットはたくさんあります。以下で詳しく紹介しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
時間の融通が利いて子どもの予定に合わせやすい
フリーランスの大きなメリットは、自分のペースで仕事を進められることです。会社員だと「休みが取れない」「行事に参加できない」といった悩みもあるでしょう。
フリーランスであれば、保育園や幼稚園の送り迎え、運動会や授業参観といった学校行事、習い事の送迎など、子どもの予定に合わせて柔軟にスケジュールを組むことができます。
もちろん、しっかりスケジュールを管理して仕事の納期は守る必要がありますが、子どもの時間を優先しながら仕事を進められるのは、フリーランスならではの魅力です。
子どもの急な発熱や病気に対応しやすい
子どもの突然の体調不良は避けられないもの。会社員の場合、急な早退や欠勤で周囲に迷惑をかけてしまったり、休暇を取るのに気を遣ったりすることも多いでしょう。
一方、フリーランスであれば通院に付き添ったり、看病に専念したりすることができます。在宅勤務なら、様子を見ながら仕事を進められるのも大きな利点です。
リモートOKな案件なら通勤時間がなくなる
フリーランスは在宅で働ける案件も多く、通勤時間がなくなります。例えば会社通勤で往復2時間かかっていたとしたら、その時間を子育てや家事、自己投資に使えるのです。
また通勤の負担がなくなるため、ストレスも軽減されます。満員電車に揺られたり、天候に左右されたりすることもありません。仕事が終わったらすぐにゆっくり過ごせます。
子どもと過ごす時間が増える
フリーランスなら子どもと一緒にいられる時間が増えます。オフィスワークに比べて、子どもの成長をそばで見守れる機会が多くなるのです。
「はじめての言葉」「はじめての一歩」など、かけがえのない瞬間に立ち会えることは、働くパパママにとって何よりの喜びといえるでしょう。
【辛い悩み】子育てしながらフリーランスは厳しいといわれる理由
フリーランスは自由な働き方ができる反面「子育てしながらやるのは厳しい」「子育てとの両立ができるほど、フリーランスは甘くない」といわれることもあります。
ここでは、子育てしながらフリーランスは厳しいといわれる理由を紹介します。
思った以上に収入が安定しない
会社員のように固定給ではないフリーランスは、月によって収入に差があります。案件の数だけが収入に反映されるため、取り組んだ分だけ稼げる一方、受ける案件が少ないと、収入も激減してしまいます。
子どものためにフリーランスで稼ごうと思ったのに「予想以上に稼げない」「不安定で生活が苦しくなった」という声は少なくありません。
集中できる時間が限られる
子どもが起きている間は仕事に集中することが難しく、夜型の生活になりがちです。そのため「昼夜逆転してしまう」「睡眠時間が不規則になる」という悩みも。
また、空いた時間を有効活用しようとして、つい仕事を詰め込みすぎてしまうこともあります。
仕事とプライベートの境目が曖昧である
在宅で働くフリーランスは、仕事場と生活空間が同じため、オンオフの切り替えが難しいです。
「子どもと遊んでいても仕事のことが気になる」「家事の合間に仕事をしてしまう」など、ゆっくり休める時間が見つけづらくなってしまいます。
突然仕事ができなくなることがある
子どもの急な発熱や怪我で、予定していた仕事を中断しなければならないことも。とくに冬場は感染症が流行するため、自分に移ってしまうリスクも考えられます。
インフルエンザや新型コロナウイルスなどに感染すると、数日から1週間は仕事ができなくなってしまいます。さらに、フリーランスには有給休暇がないため、仕事を休んだ分の収入は一切得られません。
在宅フリーランスだと、認可保育園の審査に通りづらい
仕事に集中するために、子どもを保育園に預けたいフリーランスの方もいるでしょう。しかし、在宅で働くフリーランスは、保育園入園の優先順位が低くなりがちです。
フリーランスは産休・育休を取得できない
会社員なら当たり前の産休・育休制度も、企業や団体に所属していないフリーランスには適用されません。そのため、出産前後の休業期間は収入がゼロになる可能性も。
また、育休給付金なども受けられないため、出産・育児期の備えが必要不可欠です。フリーランスになって後悔しないよう、事前に十分な貯蓄と、復帰後のプランを立てておくことが重要でしょう。
子育てしながらでも働きやすいフリーランスの仕事3選
ここでは、子育てしながらでも働きやすいフリーランスの仕事を3つピックアップして紹介します。
Webライター
Webライターは、文章を書いたり、リサーチしたりするのが好きな方におすすめの仕事です。企業のWebサイトやブログ、メディアサイトなどの記事を執筆します。
未経験からでも始めやすく、子育ての合間に自分のペースで作業を進められるのがメリット。クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトには、初心者向けの案件も多数掲載されています。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインや構築を行う仕事です。在宅での作業が一般的で、子どもの生活リズムに合わせて働きやすいです。
デザインのセンスがなくても、基礎から学べば誰でも始められます。スキルを磨いていけば、継続的な案件や高単価の仕事も狙えます。
独学だと続けるのが難しい方には、Webデザインスクールなど体系的かつ実践的に学べる環境を活用するのがおすすめです。
SNS運用代行
SNSの投稿や運用を代行する仕事です。案件によってはスマートフォンでも作業できるため、子育ての合間や外出先でも対応可能。
事前に投稿を準備しておけるため、子どもの予定に左右されにくいのも魅力です。SNSを日常的に使っている方なら、比較的取り組みやすい仕事といえます。
子育てしながら働くフリーランスママの1日のスケジュール
ここでは、2人の子どもの子育てをしながらフリーランスとして働く筆者(Webライター兼Webディレクター)の1日のスケジュールを紹介します。
あくまでも一例ですが、これから始める方の参考になれば幸いです。
筆者の場合、旦那もフリーランスなので、スケジュールを調整しやすいです。例えば、私が案件の締切に追われているときは送迎をお願いしたり、旦那の仕事が立て込んでいるときは私が子どもの面倒を見たり。
もちろん、日によって予定は変わりますし、子どもの急な体調不良で計画通りにいかないこともあります。
大切なのは、完璧なスケジュール管理を目指すのではなく、その日の状況に応じて柔軟に対応できる余裕を持つこと。
また、改めてスケジュールを可視化してみることで、スキマ時間や改善点が見えてきます。ご自身の家族構成や生活リズムに合わせて、無理のない範囲でスケジュールを組み立ててみてくださいね。
フリーランスになる上で把握しておきたい知識
ここでは、フリーランスになる上で把握しておきたい知識を紹介します。
扶養について
フリーランスとして収入を得る場合、配偶者の扶養から外れる可能性があります。年収が130万円を超えると、国民健康保険と国民年金に加入しなければいけません。
扶養を外れると保険料の自己負担が発生するため、収入と支出のバランスを考慮して働き方を検討しましょう。
確定申告について
給与所得がある場合は副業などの収入が20万円以上、個人事業主やフリーランスの場合は年間の所得が48万円以上で確定申告が必要です。
確定申告を行ったら、所得に応じた所得税や住民税を納める必要があります。仕事で使用したパソコンや通信費、家事に関連する経費など、条件を満たせば必要経費として計上できるので、日頃から領収書はしっかり保管しておきましょう。
なお、確定申告で青色申告を選ぶと、最大65万円以上の所得控除を受けられる、赤字を繰り越せるなどのメリットがあります。
助成金について
フリーランスは産休・育休を取得できないため、助成金を積極的に活用していきましょう。フリーランスでも利用できる子育て支援制度には以下のようなものがあります。
妊婦検診費助成金
妊婦検診費助成金は、妊娠中の定期検診にかかる費用の一部を助成する制度です。申請すると、自治体から母子手帳と一緒に受診券が交付されます。
補助内容は自治体によって異なりますが、一回あたりの検診で4,000円〜5,000円ほど助成されるケースが多いです。
出産育児一時金
出産一時金は、健康保険から支給される一時金です。子ども1人につき約50万円が支給されます。ただし妊娠週数が22週に達していなかったり、産科医療補償制度の対象となっていなかったりする場合の支給額は48.8万円です。
出産育児一時金は、国民健康保険に加入しているフリーランスでも受け取ることができます。受け取り方は、以下の3つの方法があります。
直接支払制度 | 被保険者が医療機関と契約し、医療機関が健康保険組合に直接請求を行う。後日、出産費用から出産一時金を差し引いた金額を支払う方法。 |
受取代理制度 | 医療機関が被保険者の代わりに出産育児一時金を受け取り、出産費用の支払いに充てる方法。 |
事後申請 | 一旦全額を被保険者が医療機関に支払い、後から加入している健康保険に申請して受け取る方法。 |
児童手当
児童手当は、中学校卒業までの子どもを育てている人に支給される手当です。具体的には、15歳の誕生日後に迎える3月31日までが対象です。
子どもの年齢に応じて月額1万円〜1.5万円が支給されます。また2024年10月より内容が拡充されました。具体的には所得制限がなくなり、支給期間を高校生年代まで支給対象となります。さらに第3子以降は3万円の支給です。
子ども医療助成
子どもの医療費を助成する制度で、健康保険適用分の自己負担額の一部が補助されます。
対象となる年齢や助成額は自治体によって異なります。フリーランスでも子どもが健康保険に加入していれば利用可能です。
子育てしながらフリーランスを継続していくためには?
フリーランスで子育てを両立するには、さまざまな工夫と準備が必要です。ここでは、子育てしながらフリーランスを継続していくためのコツを紹介します。
完璧である必要はない
「仕事も家事も育児も完璧に」と思い込むと、必ず行き詰まってしまいます。むしろ家事と仕事の両立は難しいことを前提で考えるのが、長く続けるコツです。
家庭環境や子どもの年齢によっても状況は変わるので、自分に合ったペースを見つけることが大切です。
万が一のときに頼れる存在を見つけておく
万が一のときに頼れる存在を見つけておきましょう。
「自分でなんとかしなければ」と抱え込むのではなく、頼れるときは頼れる、頼り上手になることも、子育てしながらフリーランスをやっていくために必要です。
パートナーと話し合って家事の役割分担を決めたり、親やベビーシッターなど信頼できるサポーターを見つけたりしておきましょう。
子育て以外の目標をもつ
子育てと仕事の両立は大変ですが、自分自身の成長や目標を持つことで、モチベーションを保ちやすくなります。
「新しいスキルを身につけたい」「収入を増やしたい」など、具体的な目標があると、日々の励みになりますよ。
収入の目標を決める
どのくらい必要か、どのくらい稼ぎたいか収入の目標を決めることも大切です。まずは生活に必要な収入を把握し、そこから理想の収入目標を決めましょう。
教育費や習い事など、将来的な支出も考慮に入れて目標を立てることで、効率的な案件選びや時間配分ができるようになります。
余裕のあるスケジュールを組む
納期に追われて夜更かしが続いたり、休日返上で仕事をしたりする状況は、長期的に見ると逆効果。根を詰めすぎると、いずれ心身ともに疲れてしまいます。
スケジュールを振り返り、自分にとって無理のない仕事量を見極めることが大切です。予期せぬ事態や子どもの急な用事にも対応できるよう、余裕を持った計画を立てましょう。
休みを意識的に取るようにする
心身が資本のフリーランス。休みは意識的に取るようにしましょう。
稼ぐためについ仕事を詰め込みすぎたり、納期に追われて休みを後回しにしたりしがちですが、それでは時間も体力も限界が来てしまいます。
子育て中は、育児と仕事の切り替えが難しくなりがちです。「子どもと過ごす時間」「自分だけの時間」など、意識的に仕事から離れる時間を作ってみてください。むしろ休んだほうが体力が戻って、効率よく仕事ができます。メリハリが大事です。
案件を整理する
得意ジャンル、苦手ジャンルを把握し、自分の強みを活かせる案件を選んでいくことが重要です。仕事内容に見合った報酬をもらえているかも、定期的にチェックする必要があります。
すべての仕事を引き受けるのではなく、自分の状況に合った案件を選ぶことで、限られた時間でも効率的に収入を得られます。
効率化を意識する
限られた時間で成果を上げるには、効率化を意識しましょう。子育て中は予定通りに進まないことも多いため、効率的な仕事の進め方を身につけることが重要です。
例えば、以下のような効率化の手法が挙げられます。
- 時間を捻出する
- 知識やスキル(時間管理や取り組み方など)を習得する
- AIや外注を活用する
まずは自分の作業時間を分析し、ムダな時間を見直すことから始めましょう。例えば、集中力が高い時間帯に重要な仕事を済ませる、似たような作業はまとめて行うなど、時間の使い方を工夫することで生産性を上げることができます。
また、タスク管理ツールやAIツール、場合によっては外注も活用して、作業の効率化を図りましょう。
このように限られた時間の中で収益を高めていくには、常に効率化を意識した仕事の進め方を心がけることが大切です。
フリーランスの子育てに関してよくある質問
ここでは、フリーランスの子育てに関してよくある質問に答えていきます。
子育てとフリーランスの仕事を両立するにはどうしたらいい?
まずは「完璧を目指さない」というマインドを持つことが重要です。
完璧にこなそうこなそうとすると、ストレスが溜まってしまいます。両立は難しいという前提で、周りの助けを借りながら、自分なりの両立スタイルを見つけていきましょう。
時間管理のコツは?
時間管理のコツは、どれだけ時間を作れるか、1時間あたりの業務をいかに効率的に行えるかの2点です。まずは一日のスケジュールを書き出して、どの時間が一番集中できるのか、スキマ時間はないかを確認してみましょう。
次に1時間あたりの業務をいかに効率的に行えるかですが、タスク管理ツールを活用したり、似たような作業はまとめて行うなどが効果的です。
集中力が高い時間帯には重要な仕事を、子どもが起きている時間帯には簡単な作業を、といった具合に時間帯に応じた仕事の振り分けも重要です。
急な仕事の依頼にはどう対応する?
まず前提として、自分のペースで進められる案件を選ぶことが重要です。また、前倒しで対応し、余裕のあるスケジュールを心がけましょう。
それでも子どもが病気や熱になったタイミングで、急な依頼が来ることもあります。そういった場合はクライアントに状況を説明し、納期の調整を相談しましょう。
無理な依頼を引き受けることで、仕事の質が下がったり、子どもの看病がおろそかになったりするのは、長期的に考えると望ましくありません。普段から信頼関係を築いているクライアントであれば、子育て中の事情を理解してもらえることもあります。
フリーランスが受けられる出産・育児の支援はどのようなものがある?
出産育児一時金や児童手当は、フリーランスでも受けることができます。また、各自治体独自の子育て支援制度もありますので、居住地域の制度を確認しましょう。
ただし、会社員のような産休・育休制度はないため、出産前後の収入面での備えは必要です。
子育てとフリーランスを両立するなら、環境を整えることが大切!
子育てとフリーランスを両立するなら、環境を整えることが大切です。完璧を目指すのではなく、周囲のサポートも上手に活用しながら、自分らしい働き方を見つけていきましょう。