フリーランスとして働く人を保護する「フリーランス新法」が、2024年11月1日に施行されます。
5月20日、厚生労働省の有識者検討会では、就業環境の整備をめぐる具体的な内容を定めるための報告書がまとめられました。同省は報告書をもとに、政令や省令の公布といった準備を進めていく予定です。
今回は、このフリーランス保護新法について簡単に紹介していきます。
フリーランス保護新法が設立された背景
フリーランス保護新法の背景には、フリーランス人口の増加とともに、取引先とのトラブルを経験するフリーランスが増えていることがあります。
内閣官房の「フリーランス実態調査結果」によると、業務委託を受けて仕事をしているフリーランスのうち、約4割が取引先とのトラブルを経験していることがわかりました。
具体的な内容としては、「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」というトラブルを約4割、「報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかった」というトラブルを約3割のフリーランスが経験しているそうです。
＜フリーランスが経験した取引先とのトラブル内容＞
このようなトラブルを未然に防ぐために、フリーランス新法が設立されました。
フリーランス保護新法によってフリーランスはどう変わる？
フリーランス保護新法によって、簡単に説明すると、フリーランスが安心して働ける環境が実現されやすくなります。法律の具体的な内容は、以下の通りです。
業務委託の開始・終了に関する義務
事業者がフリーランスに対して仕事を依頼する際、「業務委託の内容（仕事内容）、報酬額等」を記載した書面を交付する、もしくはメールなど電磁的記録を提供することが義務付けられます。
また、契約の中途解除や期間満了後の不更新を選択する場合、「中途解除日または契約期間満了日の30日前まで」にその旨を予告しなければなりません。
業務委託の募集に関する義務
フリーランスに仕事を募集する場合、正確かつ最新の情報を伝えなければなりません。虚偽の表示や誤解を生むような表示は禁止されます。
報酬の支払に関する義務
事業者は、フリーランスから納品物やサービスの提供を受けた日から60日以内に報酬を支払う必要があります。
フリーランスと取引を行う事業者の禁止行為
フリーランスと継続して仕事をする場合、事業者は以下1〜5の行為を行うことが禁止されます。また6、7の行為により、フリーランスに不利益を与えることも禁止です。
- フリーランスに責任のある理由なしに受領を拒否する
- フリーランスに責任のある理由なしに報酬を減額する
- フリーランスに責任のある理由なしに返品を行う
- 相場に比べ、著しく低い報酬額を不当に定める
- 正当な理由なく、物の購入やサービスの利用を強制する
- 金銭やサービス、その他の経済上の利益を提供させる
- フリーランスに責任のある理由なしに給与の内容を変更させたり、やり直させたりする
就業環境の整備として事業者が取り組むべき事項
事業者には、フリーランスへのハラスメント行為について、体制整備やその他の必要措置を講じ、適切な対応を行わなければなりません。また、出産や育児、介護と業務の両立という観点から、フリーランスに配慮することが求められます。
フリ女子より一言
これまでフリーランスと事業者の間では、仕事の内容が明確に示されないまま依頼されることや、報酬の支払いが遅れること、納品日を一方的に変更されることなど、さまざまなトラブルが生じていました。これらのトラブルにどう対処すればよいかわからず、ストレスを抱えるフリーランスも多かったように思います。
しかし、このフリーランス保護新法が施行されることで、フリーランスの立場が守られ、働きやすい環境が実現されるはずです。また、これによりさらに仕事に集中できるようになれば、事業者としてもフリーランスとしてもメリットは大きいでしょう。
フリ女子では、仕事もプライベートも充実させるべく、フリーランスを目指す女性を応援しています。これからさまざまな情報を発信していくので、ぜひチェックしてみてください。
参考URL：フリーランス保護の新法、11月1日施行へ 悪質な場合は罰金も、
フリーランス保護新法とは？制定によって何が変わる？下請法との関連も含めて解説
